債務整理・個人再生・過払金

住宅資金特別条項付き個人再生について

住宅ローンの支払いは、なんとか今のところ続いているが、ほかのキャッシング債務やクレジット債務の支払いが苦しくなってきて、支払えなくなるのはもはや時間の問題だ・・・。こういった状況の場合、住宅資金特別条項付きの個人再生を裁判所に申立て、再生計画案の認可決定を受け、その再生計画案どおり弁済を成し遂げ、経済的再建を果たす、という手法があります。住宅ローンの支払いも出来なくなり、住宅ローンについて一括請求を受けてからでは、解決は非常に困難になります。このような場合は、住宅ローンの支払いが止まってしまう前に、一度、住宅資金特別条項付きの個人再生が可能かどうか、弁護士にご相談されることを、おすすめします。当事務所でも、このようなご相談を承っております。

「債務整理」って、何なんですか?

「債務整理」という弁護士の業務広告をよく見かけるようになりました。ところで、「債務整理」って、何でしょう?その具体的な内容はあまり知られていないかも知れません。「債務整理」というのは、経済的な再建のための手段の一つです。たとえば、病気などをきっかけに多重債務状態に陥り、支払いができなくなったとしましょう。この場合に、一旦、借金の支払いを全面的に停止し、支払いを停止して時間をもらう間に、1か月あたりの収入と支出を家計表を作成し精査します。そして、毎月の返済可能金額を割り出すのです。そして、その1か月あたりの返済可能金額に収まるように1か月あたりの分割払い額を調整して、各債権者と分割払いの和解契約を締結するのです。この分割払い額の調整の際、「債権者平等の原則」を踏まえて、分割払い額が各債権者の債権額に応じて概ね案分比例するように配慮します。こういう作業を通じて、和解契約の通りに分割払いをやり遂げて、多重債務状態から脱出する、というわけです。ここまでお話ししますと、勘の鋭い方はお気づきになったかと思います。つまり、家計を共通にする人が、債務整理をしていることの共通認識を持たないと、長期にわたって和解契約の通りに分割払いを実行することは事実上難しいことなのです。家計を共通にする家族に秘密にすることも絶対に不可能だとまでは私は申しませんが、相当難しいことは明らかです。家族に秘密にはできるのですが、それは、いばらの道です。家族と話し合い、助け合って、早期に経済的な再建を果たされるほうが、ご本人にとっても、ご家族にとっても、よいように思うのですが、どうでしょうか。

債務整理とこどもの貧困

お子さんのいらっしゃる方の債務整理を受任し、受任通知を出して一旦支払停止したうえ、家計表を作成しながら精査していくと、払う方向(任意整理ないし個人再生)で進めるか、あるいは、破産免責を受ける方向で進めるのか、方針に「迷う」ことがあります。つまり、毎月の返済に回せる金額が、予想される返済総額との関係で、ギリギリになっている場合(「かなり厳しいが、やってできなくはないかもしれない」という感触の場合)があり、こういう場合に「迷う」のです。このような場合でも、ひたすら、破産免責を避けたがる方もいらっしゃいます。住宅ローンを支払って住宅をなんとか維持したいとかいう事情があるのであればそれもよく分かるのですが、そういう事情もないのに、ただ体裁のことだけを考えて、破産免責だけは避けたいと頑なな方もいらっしゃいます。当職は、このような場合、「お子さんの教育費」など、将来にわたってお子さんにかかる費用について、「具体的に」お考え頂くようお話しします。つまり、「お子さんのいる中で、ギリギリの返済プランを実行に移すことは、過去に両親の作った債務の返済のために、債務整理中に支出が予想されるこどもの教育関係費等の一部を食いつぶしているのにほかならない」という厳然たる経済的な実態を、「親として」「大人として」どう思うかについて、熟考してもらうようにお話しします。特に、多重債務に陥った原因が、「浪費とまでは言えないものの、若干背伸びした生活をするため」であったような場合は、どう考えるべきでしょうか。これを実質的経済的に子供に転嫁することは、「親として」「大人として」どう考えるべきでしょうか。当職は、債務整理の方針選択の理由や根拠は、お子さんの立場に立っても理解できる内容であるべきだと思うのです。

不動産の任意売却について

キャッシングやクレジットを使いすぎたりして、毎月の支払が多くなりすぎ、住宅ローンの支払にも困るようになってしまった場合、どうしたらよいでしょうか。住宅ローンの支払いはそのまま実行しつつ、そのほかの債務の毎月の支払額を少なくすれば、何とか支払を続けて完済できそうな場合は、住宅資金特別条項付き個人再生手続を利用したり、住宅ローンをそのまま支払続ける形での弁護士による任意整理を行ったりすることが考えられます。しかし、そのように毎月の支払額を少なくしてもなお、支払う方向での計画が難しい場合は、自己破産申立てをせざるを得ない場合もあります。この場合、主債務者が免責決定を受けたとしても、免責の効力は、連帯保証人には及びません。連帯保証人は、主債務者が免責決定を受けても、連帯保証契約に基づいて、住宅ローンを支払う義務があるのです。そうすると、それを見越した主債務者としては、連帯保証人の経済的な負担をなるべく小さくとどめてあげたいと考えるのが通常です。この場合に検討するべきことが、不動産の任意売却です。不動産は、裁判所の競売手続によって換価されるよりも、通常の売買の形で取引を行った方が一般的には高値で購入してもらえます。売買価格が高ければ高いほど、売買代金から住宅ローンの残債務に充当される金額が大きくなり、その結果、連帯保証人の経済的な負担が軽減されるのです。確実で円滑な不動産担保権の私的実行の実現のためには、不動産の任意売却代金の中から、引っ越し代金相当額を入居者にお渡しし、速やかに明渡しをしていただくことも相当だと考えます。担保権者としても、任意売却によって競売によるよりもより多くの債権の満足を実現するメリットがあります。また、金銭に困っている入居者に対して確実で円滑な明渡しの実現を行うには引越し費用相当額の交付が重要ですが、これも、高値で取引できる任意売却によってこそ実現可能になってくるのです。このように、連帯保証人の経済的な負担を軽減したり、確実で円滑な不動産の明渡しを実現する観点から、任意売却による不動産担保権の私的実行がなされるのです。不動産業者さんのなかには、売買代金から引越し費用を捻出することに消極的な業者さんもあります。しかし、そのような考え方は、確実で円滑な不動産の明渡しを図ることも担保権の私的な実行の局面でも非常に重要である、という認識に乏しいと言わざるをえません。不動産を売買したまではよいものの、入居者においてお金がなくて引っ越しできず結論として直ちに明け渡せないなどという事態が万が一にも起こらないようにしないといけません。売買代金のなかから引っ越し代金相当額を交付しないのでは、そのような周到で十分な配慮をしているのか、疑問が残ります。そのような不動産業者さんには、任意売却に十分な知識と経験があるのかどうか、ちょっと不安に感じます。

誰に頼むかで、業者から返還される過払金額が変わる?!

弁護士の広告で、「過払金請求」の広告をしばしば目にするようになりました。「過払金」というのは、わかりやすく簡単に言えば、過去に利息制限法の規制を上回る利息で貸金取引(キャッシング取引だけで、ショッピング取引は含みません。)をしていた場面において、払いすぎになった金銭のことです。「過払金」については、貸金業者やクレジット業者は、顧客に返還する義務があるのです。ところで、「過払金」には、過払金元本を返還する義務があるだけでなく、過払金が生じたときから年5分の法定利息を付して返還する義務があるのですが、業者さんは、法定利息についてまでは、すぐに返還しますと言ってくれないのが通常です。いうまでもなく、業者さんは、この超低金利時代において年5分もの利息を支払わないで済めばいいなと祈っているでしょうし、できれば、過払金の元本部分についても、できるだけ支払わないで済むようにならないかなとお祈りしていると思います。大手貸金業者が倒産手続に入ったこともまだ記憶に新しいところです。このような状況ですから、「過払金」を回収する弁護士においても、回収額や回収スピードに関して、多様な考え方が生まれます。今や貸金業者が倒産するご時世であり、それを踏まえるならば、過払金元金を割り込んだ少ない金額であっても、急いで回収して現金化する方が依頼者の生活再建に資するという考え方もあれば、反対に、たとえ時間がかかっても依頼者の生活再建のためには回収金額を可能な限り大きくすべきでありそのためには訴訟提起して過払利息についても返還させることが必要だという考え方まで、様々な考え方があり得ます。「過払金」の返還を依頼しようとする方は、過払元金を上回る過払利息を含めた回収を行うのか、それとも、過払元金の何割で和解するのかなど、「回収の水準」について確認のうえで、依頼をされるのがよろしいかと思います。ちなみに、当事務所では、依頼者の方のご意向に合わせて柔軟に対応しております。